疾患一覧 / 感染症・全身

アナフィラキシー

Anaphylaxis

疫学

アレルゲン曝露後などに急速な全身反応を生じる病態である。

出典

World allergy organization anaphylaxis guidance 2020 ↗

Prospective Validation of the NIAID/FAAN Criteria for Emergency Department Diagnosis of Anaphylaxis ↗

一般事項

症状・身体所見・検査

項目確認すること・解釈出典
病歴
曝露と時間
食物、薬剤、刺傷などと症状の時間関係を確認する。文献 ↗
身体所見
気道・呼吸・循環
嗄声、喘鳴、呼吸障害、血圧低下などを確認する。文献 ↗
身体所見
皮膚・消化器
皮膚・粘膜症状と反復嘔吐や強い腹痛を評価する。文献 ↗
検査
臨床的な判定
採血や画像の完了を待って判断する病態ではない。文献 ↗

診断基準

WAO 2020の臨床診断条件

成人。記載した条件の対象に適用する。

項目確認する内容
条件1急な皮膚・粘膜症状に、呼吸障害、血圧低下/臓器灌流障害、重い消化器症状のいずれかを伴う。消化器症状は特に食物以外の曝露で重視する。
条件2既知または強く疑うアレルゲンへの曝露後、急に低血圧、気管支攣縮、喉頭症状のいずれかを生じる。皮膚症状は必須ではない。

判定:条件1または条件2に該当する場合、アナフィラキシーの可能性が高い。

成人の低血圧は収縮期90 mmHg未満または通常から30%超の低下。条件2の孤立した気管支攣縮には、一般的な吸入抗原や摂取のない食物吸入による症状を含めない。

基準の出典・確認箇所

World allergy organization anaphylaxis guidance 2020 ↗

Table 2 and footnotes(確認日:2026-09-25)

身体所見・検査の診断精度

感度・特異度は%。括弧内は論文で報告された95%信頼区間であり、記載のない行もある。行の所見名を押すと、対象患者と出典を確認できる。

以下は2006年NIAID/FAAN基準の検証である。上記のWAO 2020基準の診断精度ではなく、小児も含む集団の結果である。

診断ルール

所見・検査感度特異度LR+LR−
NIAID/FAAN基準(2006年版)原著研究 [1]

研究の種類:原著研究

診断対象:アナフィラキシー

対象患者:救急外来のアレルギー反応・アナフィラキシー疑い174人。小児を含む。

陽性の定義:2006年NIAID/FAAN基準に該当。

基準全体の診断精度であり、個々の症状の精度ではない。

このページのWAO 2020基準とは異なる。成人だけを対象にした研究ではない。

比較基準:基準の判定を知らされていないアレルギー専門医2人の合意。

確認箇所:原著 Methods / Results(2026-09-25)

Prospective Validation of the NIAID/FAAN Criteria for Emergency Department Diagnosis of Anaphylaxis ↗

95.1(85.4–98.7)70.8(61.4–78.8)3.260.07

—:未記載または計算不能 約:原著の丸められた割合からの概算 *:感度・特異度からの概算。赤はLR+ ≥ 5、青はLR− ≤ 0.2を示す。

表の読み方・注意点

対象集団や閾値は行ごとに異なる。数値を患者個人の診断確率として使ったり、複数の所見の尤度比を無条件に掛け合わせたりしない。感度100%やLR− 0も、その所見だけで安全に除外できることを保証しない。

概算はLR+=感度÷(1−特異度)、LR−=(1−感度)÷特異度で求める(割合に換算)。論文が別に統合した尤度比とは一致しない場合があり、概算値の信頼区間は表示していない。

治療・初期対応

成人アナフィラキシーの初期対応である。

状況対応再評価・注意点
疑った時点応援を呼び、アドレナリン1 mg/mL製剤を0.01 mg/kg(成人上限0.5 mg)、大腿前外側へ筋注する。呼吸・循環障害が続けば5–15分ごとに再投与を判断する。皮膚症状がなくても否定しない。
並行して行う仰臥位を基本に、呼吸・嘔吐の状態に合わせて体位を調整する。酸素、気道管理、静脈路と必要な晶質液を準備する。急に立たせたり歩かせたりしない。抗ヒスタミン薬・ステロイドでアドレナリンを遅らせない。
反応不良・改善後反応不良なら救急・集中治療へ連絡し、監視下で追加治療を行う。改善後も再燃の観察と再発時の対応を整える。静注ボーラスへ安易に切り替えない。観察時間は重症度、反復投与、再燃リスクで決める。

更新:2026-09-25

診察・検査で確認する点

皮膚・粘膜の変化と、呼吸障害、低血圧、重い消化器症状の組合せを確認する。原因として強く疑う物質への曝露後に、皮膚所見なく気道・循環障害を来す場合もある。

画像の役割

診断は臨床評価による。画像検査を診断や初期対応の前提としない。

クリニカルパール

確認するポイント臨床での読み方
皮膚症状がなくても起こる

既知または強く疑うアレルゲンへの曝露と気道・循環障害の関係を評価する。

根拠文献

World allergy organization anaphylaxis guidance 2020 ↗

Prospective Validation of the NIAID/FAAN Criteria for Emergency Department Diagnosis of Anaphylaxis ↗

鑑別疾患

所見が似ている疾患や、見分ける際に確認したい正常変異を調べられる。

参考文献
  1. World allergy organization anaphylaxis guidance 2020 ↗

    Table 2の診断条件と脚注。皮膚所見を伴わない反応も含む。図表は転載していない。

  2. Prospective Validation of the NIAID/FAAN Criteria for Emergency Department Diagnosis of Anaphylaxis ↗

    原著2016年、Methods・Results:小児を含む174人、専門医判定との比較。WAO 2020の検証ではない。